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[出版業界を変えたい
多くの本をかかれていた本谷さんから最近の出版事情が非常に悪いので執筆者のための出版社をつくりたいと相談をうけました。
出版社の権利をもっているのだそうです。
自分でも本を書き続けたいので出版社の仕事を最小限にしたいと。
そこで二人で考えたのがつぎです。
本谷さんが体調を崩し出版活動を休止したため思うようには実現しませんでしたが、どこかの出版っ社が取り組んでいただけると嬉しいです。
出版社の権利をもっているのだそうです。
自分でも本を書き続けたいので出版社の仕事を最小限にしたいと。
そこで二人で考えたのがつぎです。
本谷さんが体調を崩し出版活動を休止したため思うようには実現しませんでしたが、どこかの出版っ社が取り組んでいただけると嬉しいです。
ビジネスとしての投資型出版(2002.9.25)本谷裕二
これまで出版社は、ハイリスク、ハイリターンを原則に、1冊の本を作るために250万円~400万円前後の資金を用意し、出版活動をおこなってきました。
しかし、本は日に日に売れなくなり、それにともなって、出版社がつぶれ、取次の鈴木書店もつぶれ、街の書店もつぶれ、出版業界は厳しい状態になっています。
当然出版社が経費を削減するために、編集費を削り、DTPなどの制作費も削り、原稿料も初期出版部数を減らして印税の支出額を減らしたり、印税率を8%からさらに2/3を月末締め翌々10日に支払い、2/3を超えて売れた分は、毎年10月末に過去1年間の実売部数を集計して12月末に支払うなどといった支払い形態を、強要される事態になってきています。
編集費もバブル中はページ3500円などといった額で支払われていましたが、いまではページ1200円前後。DTPも6000円も支払われていた時期もありましたが、ページ1200円まで値下げされてきています。
またエディトリアルデザイナーには発注せず、著者がページレイアウトまで配慮した原稿を書くよう依頼され、図版の大きさを決めページからはみ出さないよう文字数を合わせた原稿を要求されるようになってきています。
イラストレーターもカバーデザイナーも、新人を使い、新人ゆえに支払額を下げるようにしています。
このままでは、出版の世界に携わり続けるにはかなり経済的に難しくなるのは、目に見えています。執筆者も、編集者も、DTP製作者も、イラストレータも、デザイナーも絞られるだけ絞られ、制作意欲を持って作るのではなく、とにかく作っていかないと食えないという状況での出版制作活動にならざるを得ません。
この状況は、出版社がいいところをもっていっているのかというと、そうではなく、出版社もかなりぎりぎりのところで、このような経費削減をやっているのです。出版社は売れるか売れないかわからない本を、300万円前後の経費をかけて作るわけで、売れなければその経費は回収できないわけです。その反面、著者や編集者は、本が売れなくても仕事をした分、入金があります。このへんのバランスで、著者や編集者への支払額が次第に削られてきているわけです。
これでは、出版社も著者も編集者もDTP製作者もイラストレータもデザイナーも、みんな共倒れになってしまいます。
●ビジネスとしての投資型出版の実現へ
出版社だけが、多額な初期投資をして出版するこれまでの形態では、いまの不況下での出版は難しく、執筆者や編集プロダクションを巻き添えにして、共倒れになっていくのは想像に苦しくありません。
ではどうやって、出版活動を続けていけばいいのか。
●投資型出版形態
私は、出版社の面、編集プロダクションの面、DTP制作の面、そして原稿執筆者の面と、出版業界の中で主要な4つの部分を経験してきました。そこで、これらの主要出版活動の経験を踏まえ、苦境にあえぐ出版の世界に、新しい出版形態を発案いたします。
それは、ビジネスとしての投資型の出版形態です。
本の出版資金を、出版社だけで負担するのではなく、一般から資金を集め、その資金をベースに本を制作していくというものです。
これは、編集者やDTP制作者、デザイナー、イラストレーターなどの各分野の方もリスクを負い、その代わりハイリターンで売上金を、みんなで分け合うという出版方式を提案するというものです。
出版社であるイデア出版局は、印刷所や編集者、DTP制作者、デザイナー、イラストレーター、書店への取次を行ってくれる地方・小出版流通センターなどとの打ち合わせを、プロデュースする部分を担当します。
編集者は編集部分を、DTP制作者はDTP部分を、デザイナーはデザインの部分を、イラストレーターはイラスト部分を、それぞれ得意分野を担当し、それぞれの技術を提供しあい、本が売れたときに、その売り上げを規定のパーセントで受け取れるという、出版方式です。
同じように、不況であえいでいる映画の業界も、巨額なお金を映画制作会社だけでは捻出することができないのはいうまでもありません。この数年、協賛会社を募り、資金の出資をしてもらったり、映画で使用する自動車や衣装、別荘地の提供など、現物支給をしてもらったりと、さまざまな方法で資金集めをして、映画を作ってきています。
出版業界も本のスポンサーを見つけたり、共同制作者と組んだりして、本を作る時期に来ていると思うのです。旧態依然とした出版形式から脱却し、資金調達による出版形式を提案するしだいなのです。
●出版するまでの手順
このシステムで本を作るには、本の企画案に賛同したスタッフが集まり、資金提供する出資者を集め、制作に取りかかることになります。
資金の出資者は、原稿を書く人や出版社、原稿を書く人の友人、そして一般企業のスポンサーなど、いろいろ考えられます。
イデア出版局で印刷会社から見積もりを集めたところ、A5版で256ページの本を2000部印刷すると、約50万円ほどで作ることができるのがわかりました。
50万円でしたら、10人の有志が集まれば、一人5万円の資金提供で本の出版が可能なのです。
あとは、この出版形式に賛同する制作スタッフの同意が得られれば、50万円の予算で本の制作を行うことができます。
高橋先生の本「項目応答理論入門~新しい絶対評価」は、この方式で作っています。